ねこ哲の思考メモ

気づきや日常をメモしていく。後に思考を整理するために。

好きなもの、やりたいことを見つからない人へ

現代に生きる人で、自分の本当に好きなものはなんだろうか?本当にやりたいことはなんだろうか?と自分に問いかける人は、昔に比べて多くなっているだろう。
 

科学技術が発達してきて、誰でもあらゆる情報が手に入るようになり、多様な人生の選択肢があるように感じる現代は、表面的な自己満足は得やすいものの、自分の心の底から満たされるような人生を歩むことは難しくなっている。なぜなら、あまりにも多い情報―これらは社会から発信される情報だけでなく、身近な友人達から受け取る情報も含まれる―は、人を迷わせる元となるからである。情報が多くなれば選択肢は多くなる、選択肢が多くなれば人は迷う。心理学的にもありすぎる選択肢は、かえって選びにくくなることが知られている。

 

心理的トラップ:選択肢がたくさんあるとむしろ選べなくなる~マネーハック心理学15

 
僕は、この情報溢れる現代において、心より好きなもの、やりたいことを見つけるためには、頭のノイズを消していくことが、極めて有効な手段であると考えている。
 
頭の中にあるノイズを消していくことができれば自然と好きなもの、やりたいことは見つかっていくだろう。
 
しかし、頭の中がノイズで満たされてしまっていると、いかに様々なことにチャレンジしてみようとも、刺激的な体験をしようとも、好きなもの、やりたいことは見つからないだろう。
 
ここで、頭の中のノイズとはなんだ。という話をすると、人は頭の中でぶつぶつ呟く習性がある。大体の場合が、自分に対して都合の良いように考えるか、自分を擁護するか、現状への不満である。このぶつぶつ呟く存在は、宗教、哲学の世界では、エゴとか自我と呼ばれている。このエゴがひっきりなしに頭の中で、あれもやりたいこれもやりたい、あれはダメこれはダメとぶつぶつ呟いているのだ。
 
このエゴの強度や方向性は人により異なる。エゴの方向性は人の嗜好と性格につながり、エゴの強度はその人間の成熟度につながる。
 
頭の中のノイズはほぼ全てがこのエゴから来る。エゴが強力であれば、頭の中がノイズで満たされ、目の前の存在、体験を素直に受け入れることができない。そして、目の前の存在にある、一見隠れた魅力に気がつくことができなくなるのである。
 

人間は、今、目の前にある存在に対する感受性なくしては、本当にやりたいことや好きなものを見出すことができない。目の前に存在する様々な美に気づくことができなくなるのである。

 

目の前にある存在と感受性の例として、味覚を考えてみよう。頭の中であれこれ考えた状態で食事をするのと、頭の中で何も考えずに目の前の食事に集中して食べるのとどちらが良いか。

 

頭の中であれこれ考えながら食事をした場合、自分の食事に対して、食べてはいるけれども味覚をほとんど働かせることなく、ただ習慣的に食べていることになる。

 
ごちゃごちゃ考えている状態で、強烈な味付けに反応することがあっても、自分が食べている食材の味を味わい、噛みしめることはできるだろうか。
 
これらの違いは、一見、何気ない違いであるが、味覚の感じ方、すなわち感受性が大きく異なってくる。
 
そして、これは周りから指摘されることはほとんどない。周りから見て、考えながら食べているのか、何も考えずに、味を感じて食べているのか。周囲の人はどうやっているか知らないままに、いろんなことを考えながら食事をする。食事だけじゃない。目の前に異性がいる時でさえ、ごちゃごちゃと別の異性のことを考えてしまうこともあるだろう。
 
恋愛でもこれは一緒なんだ。目の前の異性に対して、その人だけを真剣に見つめていくか、その人と素晴らしい関係を築くことに意識を向けられるか。それとも、その人以外の人を考えたり、他のことを考えているか。
 
目の前のことに対して、目を背け始める時、その前後では、頭の中はノイズで満たされているだろう。目の前の存在の魅力に気がつかぬままに・・・。
 
好きなもの、やりたいことというものは、最初から完全に整っているとは限らない。

 

  • 自分が活躍できて、激務じゃなくて、待遇が良くて、楽しい仕事
  • 器量が良くて、優しくて、美人の女性
  • 仕事ができて、優しくて、頼れる家庭思いの男性
  • 安くて、美味しくて、栄養価の高い食事

こういう明らかにアタリみたいなものは、世の中そうそう転がってない。

だが、エゴから来る頭の中のノイズは理想的なものを求めようとする。

 

自分の好きなもの、やりたいことを見つけるのを諦めてみるのも1つの手だ。諦めることで自然体になる。頭の中からノイズが消えていく。そして、目の前のことを受け入れる心ができるだろう。

 

諦めると見せかけて、諦めきれていない未練が残ったような態度じゃあ駄目だ。

「人生そんなにうまいようにいかないよ。」と人に諭しておいて、自分はまだ上手くいくように思っている人もいるだろう。

 

長くなってしまったが、まとめると、好きなことを見つけるには、頭の中のノイズを無くしていくことが大切である。

 

どうすれば頭のノイズが無くなるか。いかに自分のエゴを無くしていくかが大切になる。頭の中で考え事をしている自分に気づくことである。

 

自分で自分の思考がどう飛ぶかを観察できるようになれば、頭のノイズは晴れていくだろう。この頭の中の雲が晴れることで、あらゆる出来事に対して、魅力や充実感を感じるようになる。

 

好きなもの、やりたいことを見つけるというよりも、やること関わることが、好きになるし面白くなる。そんな状態になっていく。

 

思考の観察に関してはこちらでも述べている。

 考えられない。考える。考えない。