ねこ哲の思考メモ

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音大卒業生の悲惨な就職状況に関する考察

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news.livedoor.com

 

この記事を読んだ。

音大が日本全国で42校もあり、そこからの国内オーケストラの就職先が36団体しかないと初めて知り、驚愕している。

 

42校の卒業生、音楽系の職への就職率は如何なものかと調べたところ、以下のサイトに行き着いた。

tmaita77.blogspot.com

 

以下、同サイトからの引用である。

 この推定音楽家就職者136人は,ほぼ全てが音楽関係学科の卒業生とみてよいでしょう。同年春の大学の音楽関係学科卒業生は4,485人です。したがって,音大卒業生のうち,晴れて音楽家になれたのは,136/4,485 ≒ 3.0%と算出されます。

 

音大を卒業し、音楽家になれる人は推計すると全体としては3%で、そこからさらに楽器により強弱があると・・・。

 

そして、オーケストラ業界が伸びていくことは考えにくい。

 

音大へ入学する時には、期待に胸を膨らませて入った多くの若者が、卒業時には、ほとんど音楽へ関連する仕事へありつけないという状況は、辛いものがあるだろう。

 

まあ、音大卒業生全員が全員オーケストラを目指しているわけでもないだろうし、声楽系もある。直接は関係ある仕事に就けなくても、音楽と関わりの一般企業へ就職できる人もいるにはいる。しかし、やはり現状の音大入学者数と卒業者の就職先の数のバランスは明らかに釣り合っていないと感じる。

 

また、音大へ入り卒業するには、相当の努力と金を費やさないと入れなく、入学から卒業までのレッスン費用も含めると数千万単位の費用が必要であり、それもまた、途中で道を諦めるということも、難しくしているのだろう。

 

latte.la

 

音楽家の道に近い道として、画家(芸術系)、漫画家やプロスポーツ選手などの専門職系が思い当たるが、学習にかかる費用の点と、就職先のリターンの点で、他よりバランスが取れていないように感じる。

 

凄まじくザックリであるが、各専門職系の費用や就職先に対するイメージを表に起こしてみた。

 

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音大系は、楽器が必要な分、それ以外の専門職ルートへ比べると、平均して教育費用がかかる。楽器に拘り出すと数百万単位のお金が飛んでいく。

 

と、こう考えてみた場合、音大系のルートは、なかなか道として険しい印象がある。

 

 

就職先という出口がないのであれば、その前の入り口で絞るしかない。

 

例えば医学部のように、入学者数をできる限り絞って、就職先の数とバランスを取るのも対策の1つではある。

 

 

古い資料にはなるが、文科省の平成16年度の医学部医学科卒業生は、6,737名であり、医師の需給に合わせて入学者数が調整される。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/029/siryo/06061613/001.pdf

 

 

職にありつけない人を増やさないためには、入り口を絞れば良いと誰もがすぐ思いつくが、そうならないのは、「音楽家」という国家資格がないことと、音楽業界の性質に起因する。

 

音楽家という資格がないから、職として、どれぐらい需要と供給があるのか、判断することが難しい。また、プロミュージシャンのような道は、必ずしも音大卒である必要がなく、「オーケストラ」の道であれば、音大卒業はほぼ必須となるが、「ミュージシャン」系であれば、音大卒業は必須ではない。

 

こちらの「音大」と「ミュージシャン」が混ざることにより、世間の人がどれだけ「音楽」に対する需要があるのか捉えることが難しくなり、どれだけ専門的な教育を受けた人が必要なのかわからなくなる。

 

「音楽」の枠で考えれば、ビジネス側面から考えると、CD系のデジタル系の販売数は年々低下しているものの、ミュージシャン・アーティストのライブに力を入れ、業界全体の動員数は増加傾向にある。

 

一方、オーケストラ系の動員数が増えたとは、ほとんど話を聞かない。むしろ、クラシック系のジャンルは人口が減り続けているらしい。

togetter.com

 

 

 

オーケストラ系演奏者の高齢化

 最初の記事にもあったが、オーケストラは、一度入ってしまえば安定的だ。スポーツと違ってケガがあるわけではないし、芸術系と違ってアイデアが枯渇することもない。

だから、一度入ってしまえば、長期的に働き続けられる職ではある。

 

しかし、それは逆に裏返すと、人材の流動性が著しく低く、徐々に業界や組織全体が高齢化していくのを避けられない状況にあると言える。

 

 

 

前向きに音大卒を強みとして就職へ活かす解釈

これまで、音大卒業生の就職状況を悲観的に考えてきたが、音大卒を武器として、一般企業の職へ活かしたら良いとポジティブに捉えるような書籍もあった。

 

 

 

こちらのレビューでは、

「音大進学に対する就職への不安が払拭されました。」

といったコメントもあり、一般的にはどうなんだろう?と疑問符がつくような事柄も、上手く前向きに捉えて、人生に活かしていける理解が得られることは大変素晴らしいと思う。

 

 

まとめ

  • 音大のルートは、美術やスポーツと比較すると、楽器が高価な分、教育費用が高い。
  • 音大生卒業生の就職は大変であるものの、企業の中では活かせる方向性もある。
  • 個人的には、音大の数(入学者数)は、多すぎるように感じる。もっと絞っても良いだろう。しかし、音楽業界は、クラシックとミュージシャンが混ざると、どれだけの需要があるか、測ることが難しい。文化とビジネスが混ざり、価値を測ることも難しい。

 

 

 

 

続き(2018年11月22日)

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いただいたコメントも絡めて考察を続けてみました。

 

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